自然な外観でメンテナンスが簡単。天然芝に近い質感を再現できるリアルタイプの人工芝。今後はDIYで施工されるケースも多くなっていくだろう。そうしたDIYのニーズに応えるために、今回は実際に居住中のお宅の庭を借りてリアル人工芝の敷き方を順を追って解説する。整地や敷き方の基本はもちろん、障害物まわりの処理や端部の雑草対策など実際の施工で遭遇するだろうケースも網羅しているので、ぜひ参考にしてほしい。
[リアル人工芝の種類]
【イエモア リアル長毛グラス】
芝の長さは約35mmあり、あえて芝の色にバラつきをもたせてある。施工時の景観はもちろん、さわり心地や踏み心地も、天然芝に近い質感を追求した長毛タイプの人工芝。
【イエモア リアル短毛グラス】
芝の長さは約10mm。刈りそろえたばかりの芝生のような状態で、カーペットのようなきれいな外観が特徴。
[用意するもの]
・イエモア リアル長毛グラス
・高密度防草シート
・キワ押さえプレート
・押さえ付きコの字ピン
・人工芝用押さえピン
・高密度防草シート用テープ
・草削り
・草取り
・レーキ
・テミ
・ネット回収袋
・ゴムハンマー
・ガーデン万能ハサミ
・メジャー
[整地する]
1.雑草を取り除く
施工前の状態。傷んだ芝生や雑草があるばあいは、これらを取り除く作業からスタート。
施工面積が広い庭の除草作業には、草の地上部を削り取るタイプの草削りが便利。立って作業できる長柄のものがおすすめ。
傷んだ芝と雑草を、地面の際から削り取る。
建物や塀の際は、防草シートにすき間ができやすく雑草が生えやすいところ。草取りなどを使って、根っこごと雑草を除去しておきたい。
削り取った草をレーキでかき集める。
集めた草はネット状の回収袋に入れて土をよくふるい落としてから、自治体のルールに従って処分する。
2.整地する
整地されていないデコボコの地面では人工芝をまっすぐに貼ることができず
貼った後のたるみの原因にもなってしまう。
レーキなどを使って平らにならす。このとき石も取り除いておくこと。
平になった地面をよく踏み固める。固くなればOKです。
この地面を固める作業(転圧)がしっかりできていないと、敷いた後のたるみにつながってしまいます。体重が軽いかたは、強度のあるブロックなどを使いながら丁寧に転圧作業をおこないましょう。
雑草や石を取り除いて整地が完了。地面にデコボコが残っているとそのまま施工後の表面に影響して景観が悪くなるので、下地づくりとしてていねいに作業しよう。
[防草シートを敷く]
3.1枚目を敷く
塀際はすき間ができて雑草が出やすいところ。塀と平行に防草シートを広げたら、シートの端を「キワ押さえプレート」で押さえて雑草対策をしておく。
防草シートの端を立ち上げておき、折り曲げた「キワ押さえプレート」をあてて付属のピンを打ち込んでシートがずれないように固定する。
防草シートをきれいに広げたら、「押さえ付きコの字ピン」を打って固定していく。塀際は地下に基礎コンクリートが入っていて打ち込めない可能性があるので、その場合は少し離れた位置に打っておこう。
大まかに数カ所にピンを打って動かないように固定できたら、1m間隔を目安に塀際にピンを追加して打っておく。
4.2枚目以降を敷く
防草シートはシートに引いてあるラインを目安に5cmほど重なるように敷いておく。シート間にすき間があると日光が差し込んで雑草が生える原因になるので、重ね張りは重要なポイント。
防草シートが重なっているところに「押さえ付きコの字ピン」を打って、2枚一緒に固定する。
防草シートのつなぎ、切り込み、ほつれなどの部分は、「高密度防草シート用テープ」で補強しておくと安心。耐久性が高く、防草シートと同等の耐用年数があるので、屋外で安心して使うことができる。
施工後に負荷がかかりやすいピンを打った箇所、シートのつなぎ目などを「高密度防草シート用テープ」で補強しておくと安心だ。
5.障害物まわりを処理する
物置が設置してある場所。まず物置の位置に合わせて防草シートをカット。日光が差し込むところは雑草が生えやすいので、物置の下にも20cmほど防草シートを延ばしておく。
庭に植物を植えてある場所も、雑草防止のためにはきちんと防草シートを敷き込んでおきたい。
防草シートの端から植物の位置までハサミを使って切込みを入れ、すき間ができないように植物を挟んでから切り込んだ部分をテープで補強しておこう。
[人工芝を敷く]
6.最初の1枚を敷く
芝の向きによって芝目(芝が流れる方向)がことなるため
芝の向きは揃えるように敷いていく。
ロール状に巻いてある人工芝を、塀際に合わせて広げる。いっぺんに広げてしまうとズレやタワミを直すことができないので、少し広げた状態で位置を調整してから巻ぐせを直しながら広げていくとよい。
人工芝の固定には、目立たないように緑色に塗られた「人工芝用押さえピン」を使用する。
「人工芝用押さえピン」を塀から少し離れたところに打って人工芝を固定する。埋設されている水道管を破損する恐れがあるので、押さえピンは一気に強く打たないで、軽く叩いて地中の障害物に注意して打ち込むようにする。
7.残りの人工芝を敷く
人工芝は先に敷いたシートとのすき間ができないように、突き付けでぴったり寄せて敷いていく。
人工芝シートのつなぎ目に「人工芝用押さえピン」を打ち込んで、2枚がずれないように一緒に固定する。
ピンと人工芝の間に芝を巻き込まないように打ち、ピンの頭を芝で覆うようにすると
ピンが目立ちにくくなる。
1枚分の幅で敷くことができない中途半端なところは、残った幅と長さを測ってサイズを合わせてカットしてから敷くようにする。
8.障害物まわりを処理して仕上げる
物置に接するところは、防草シートと同じように置くまで敷き込むようにする。物置にあたるところより20cmほど長くカットし、基礎石を避けるように切り込みを入れて処理すると、きれいに敷くことができる。
植物を植えてあるところは、まずシートを合わせて切り込みを入れる場所がわかるようにする。
続いて壁と植物の距離、植物の太さを測って、その寸法で先ほど合わせた位置に切り込みを入れる。
切り込んだ先を植物の太さに合わせて丸く切り取って植物を挟むようにすると、ぴったりに敷くことができる。
人工芝の施工が完了!! 雑草が生えて荒れ気味だった庭が、美しいグリーンの絨毯に変わった。
9.コンクリート面への敷き方
テラスやベランダなどのコンクリート面に人工芝を敷く場合は、「人工芝用両面テープ」を使用する。
施工する場所のゴミ、ホコリ、汚れをよく取り除く。汚れ方が激しい場合は、水洗いして乾燥させてから作業する。
人工芝を敷く場所を決めて、シートの端にあたるところに両面テープを貼る。施工面積が広い場合は、ずれないように内側にも数カ所、帯状に両面テープを貼っておこう。
両面テープの剥離紙をはがし、位置を合わせて人工芝をのせる。
ズレやヨレがないことを確認したら、上から押さえてしっかり固定する。
10.人工芝のメンテナンス
【芝を起こす】
人工芝が寝てしまうと、人工素材特有のテカリが目立って芝が不自然に見えてしまう。気になったら、デッキブラシを使って芝を起こすことができる。
芝の流れに逆らってデッキブラシをかけると、芝が起きて天然芝に似た景観を取り戻す。